もしドラッカーの”真摯さ”のヒントが映画『ブッダ』にあるとしたら

映画『ブッダ』を観ました。最も心に残った部分が、ドラッカーが課した最重要の資質”真摯さ”=integrityの理解をすすめる鍵となりました。主観と妄想満載でまとめます。

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ブッダの名前であるシッダールタは「目的を達したもの」という意味

ブッダの名前がゴータマ・シッダールタであることは知っていましたが、シッダールタの意味は、映画のパンフレットで初めて知りました。作中でもナレーションで言及されていたものの、この映画で最も心に残った部分は映画が始まる前に分かっていた、ということです。

シッダールタは「目的達成」と深い関わりがある。

目的と聞いて思い出したのがドラッカー

最近ほどのブームになる以前、没年のニュースがきっかけで知ったドラッカーが今でも好きです。そしてもしドラで気になるキーワードとして再認識させられたのが”真摯さ”。日本語としての”真摯さ”がもつ、正直さ・一貫性・裏表の無さ・誠実さなどの語感で理解したつもりになっていました。

しかし、integrityはそう単純ではなかった。

  1. 訳者上田さんの苦悩:「何と訳そうか、どんな日本語を充てるべきか悩みに悩みました。通勤の途上で、あるいは田んぼの畦道を歩きながら呻吟の末、やっとのことでぶち当たった言葉が“真摯さ”だった」ドラッカーのマネジメント思想の根幹「Integrity」 – 来栖宥子★午後のアダージォ
  2. ドラッカーの苦悩:「真摯さ(integrity)を定義するのは難しい」(として、その後、integrityでないものを列記している)経営者の皆様、“インテグリティ”をお持ちですか?:日経ビジネスオンライン
  3. integrity自身の難しさ:The Meaning and Definition of IntegrityIntegrity (Stanford Encyclopedia of Philosophy)► Integrity: The definition and true meaning of integrity(英語苦手なんでちゃんと読んでいませんが多様な議論があることが伺えます)

目的、に結び付いたのはTwitter / @Akitoshi Kimura: @keisuke_yamane integrityは …の「目的があってその実現の為に内なる規範を保つ強さ」という表現から。

この説明は、もしドラや「Amazon.co.jp: マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則: P・F. ドラッカー, 上田 惇生: 本」を理解する上ですごく役に立ちます。

ドラッカーは組織の定義から始めよ、と言います。組織の永続は目的ではない、と言います。組織には、自身の存続ではない外部に向けた目的がある、ということだと思います。

この難しいintegrityにはどうやら”目的達成”という概念が含まれているんじゃないか?誠実さ・正直さ・ひたむきさ、といった表現は、目的を達成する上で表出した印象を捉えたものでしかないのではないか?

組織は目的によって定義されるから、目的を達成しようとする資質=integrityが必要なのはあまりに自明です。

逆に言えば、具体的な目的がなければ、誠実にも、正直にも、ひたむきにもなれないんじゃないでしょうか。これら3つ、印象として他者には好印象にうつりますが、

  • 目的のない誠実さはうわべだけだし、
  • 目的のない正直さはあけっぴろげなだけだし、
  • 目的のないひたむきさはがむしゃらであるだけ、

と言えるのではないでしょうか。特に誠実さは、達成しようとする目的なくして定義できない言葉です。

マネジメントに携わるもの、人格を清廉にせよ、とドラッカーは言いたいのではなく、目的を達成せよ、と、ごく具体的なことを述べている、そう思います。

組織に目的が必要なように、個人にも目的は必要なのか

組織は目的が無ければ存在できない。100人、30人、10人、、と組織の構成員が減ってもそれは組織ですから同様に、2人の組織でも目的は必要です。では1人、個人の場合は目的は必要なのか?

目的が無かったり共有されていないと組織は瓦解や腐敗を始めますが、個人の場合は目的が無くていきなり死ぬようなことはありません。

しかし、人が生きる意味や目的についての問いは有史来ずっと続き、未だ人間を苦しめています。目的が無いままに生存を続けることは生き地獄と言えるのほどです。組織は、その構成員に、目的を与えます。人は、自分の目的と属する組織の目的を融合することで苦しみから逃れ、安堵を得ます。これは、組織の社会的責任の大きなひとつです。

ふと組織から離れる、組織にいても内部孤独を感じる、所属している組織の目的に疑問を感じる、などの場合、人は個人の目的について考え始めます。それについて教えてくれる人や教科書は世界中どこにも存在しません。

個人にも目的は必要です。組織が存続を目的として存在し得ないように、個人も、80歳まで生きることを目的として生きることはできません。内部ではなく、外部に目的を持たずして、生きていけないのです。

個人の目的を達成した、だからブッダは偉いのだ

ブッダが実在していたかどうかは問題ではありません。誰が付けたか分かりませんが、覚りを開いた人、何千年も語り継がれる宗教の開祖の人、としてのブッダが、シッダールタという名前でありそれが、「目的を達成する人」という意味を持つということが非常に興味深いのです。

ブッダが達成した目的はどんなものだってしょうか。愛の秘密でしょうか、人類の悩みの解決でしょうか、輪廻転生からの解脱でしょうか。それらは問題ではありません。

地球人、という組織は存在しません。目的がありませんから。もしあるとすれば、もっと私達の苦しみは減っているはずです。ブッダは地球人を代表してその目的を達成したのでしょうか。違います。地球人という組織は存在しませんから。ブッダは、ブッダ自身の目的を達成したのです。

組織が目的で出来ているように、人も目的で出来ている

組織と目的の関係については、ドラッカー本に書いてあります。組織を微分すれば個人です。ドラッカーは組織の目的について述べ、ブッダは個人の目的を達成した人です。組織が目的無くして存在し得ないように、個人も目的無くして生きられない、私はそう解釈します。個人は、構成員が自分自身だけという組織のマネージャーですから。

ブッダの教えのヒントは、ドラッカーのintegrityにあり

どうも、一番言いたいことを最後にもってきてしまう癖が抜けません。さらにタイトルと逆になってしまいました。まとめますと、

  1. ドラッカーのいう、マネージャーに大事な資質が真摯さ
  2. 真摯さとはintegrity
  3. integrityとは目的達成に向けた内規的強さ
  4. 個人の目的を達成したのがブッダ
  5. 個人も組織も一緒

人が生きるためには目的が不可欠、目的を達成することが、生きること。人も組織も同じだから、組織がその目的を定めるように個人も自分の目的を定めるなど、方法論に共通するところがある。つまり、ドラッカーのマネジメント論は企業・NPOなどの組織だけでなく、個人ひとりひとりのためにも有効なのではないか。

実際、ドラッカー本を読んでいて、果たしてこれはビジネス本どまりじゃない、哲学書だ、と多々感じていました。個人が、構成員が自分自身だけという組織のマネージャーであるとすれば、ドラッカーのマネジメント論は”生き方”も教えてくれるんじゃないでしょうか。

ドラッカーが一番述べたかったことがintegrityであるなら、それは組織だけじゃなく個人の生きることのための指南でも十分あり得る、これが言いたかった。

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