観るだけじゃない、買うだけじゃない、共創型観光

観光にもいろいろあるようだ。発地型観光、着地型観光、参加型観光など。それぞれ、観光というサービスの主体と客体が誰なのかで分類できそうだが、整理していくと次の進化が見えてきたのでお伝えする。

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既存概念の整理

観光タイプ 企画者 与え手 受け手
発地型 都市 観光地 観光者
着地型 観光地 観光地 観光者
共創型 観光地と観光者 観光地と観光者 観光地と観光者

発地型は旧来の、都市の旅行会社が企画して観光者を一挙に観光地へ送り込む方式。それに対して差別化や地域の独自性を重視した着地型が見直されているという。地元のNPOなどがガイドツアーをするようなスタイルだ。

話としては、地元にサービスの与え手としての役割だけでなく企画立案の権限まで持たしたという点で違いがあるが、当たり前なことに、お金を払う観光者が現地で誰かにサービスを受けるという構図はそのままだ。

ここで私は第3の観光タイプ「共創型観光」を提唱したい。

共創型観光とは

マーケティング3.0における「共創」とだいたい使い方は同じだ。上の表4行目にまとめた通り、観光地の住民と観光者はみな、企画して、サービスを与えて、またそれを受ける主体になる。役割の区別が無くなるのだ。

3Dプリンターで車を作ったなどで有名な米LocalMotors社を例に挙げると、車の設計は、生産者と消費者の区別が旧来のそれとは明らかに違う。消費者がズバズバ意見を言え、それが反映される文化土壌があるのだ。これの功罪は別記事で述べるが、このような考え方を観光に移譲するとどうなるだろう。

観るだけじゃない、買うだけじゃない

観光者は、名勝地を巡り、写真を撮り、ゆく先々で買い食いし、そこそこの宿に泊まり、お土産を買って帰る。あー楽しかった、また行こう。当たり前だが、これが観光だ。地元にお金が落ち、観光者はまた明日の活力を手に入れる。

共創型観光ではこうなる。

参加者は、名勝地の保存管理に、写真スポットの探求に、より美味しくて健康的で地元に優しい食事に、宿の待遇や部屋の内装に、地元ならではの特産品の発掘に、知恵を絞るのだ。あっ少し良くなった、次はこうしよう。通常の完成された観光地が得る額より地元に落ちるお金は少ないかもしれないが、観光地も観光者も、かけがえのない知見と達成感と人的繋がりを得られる。

ここでいう「参加者」は観光地の住民でも観光者でも、両方当てはまる。まちづくりに、両者が参加するのだ。

地域おこしに必要な「よそもの」

それを、従来の観光の枠組みに乗せながら、地域の発展を目的に、主客ともに共創していこうという考えだ。地方だけではない。逆も当然あり、地方の人が都会に来たときに「都会の地域おこし」に両者が共創したっていいのだ。

これは観光ではないかもしれない、政治かもしれない。

そんなめんどくさいことやるか?

いやいや、普段から都会の仕事で疲れて切っているのに、そんな真面目で大変なこと、なんでわざわざ遠方へ行って、しかもお金払ってまでやらなきゃいけないの?

当然出てくる疑問だ。

しかし既に消費者ニーズは、自身が消費者であること自体に疑問を持ち始めているところまで来ていると私は感じている。誰かが作ったものを自分はお金を払って使うだけ。そんな構造に疑いの目を向け始めているのだ。

地域おこし、地域行政においてよそものがしゃしゃり出すぎて地元住民がなおざり、とまではなりにくいし、またあってはならないことではある。地元の主体はあくまで地元住民。それを刺激しサポートするのが域外者、今回でいう観光者だ。

地元主体でありつつ、観光者も主体となる。上下構造でなく、誰もがそれぞれの知恵を絞り合って、地域の発展に力を貸す。それが、次世代の観光であり、地域づくりであり、そしてもしかしたら政治と呼べるかもしれない。

私はそれを、共創型観光と呼ぶ。

地理的条件のいい上野原市で、一時的な参入コストが低い農業などの観光資源と情報の流通コストが限りなく0に近いインターネットとを融合させた共創型観光を、今年は推進していく。

©2017 まちいく

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